「ソングラインを旅する」 Powered By ETC [ 英会話プライベートレッスン ]

 

ブルース・チャトウィンふとしたきっかけで、ある人のことが心に残り、その人のことを深く知りたくなることがあります。

彼らがどう死んでいったのかというエピソードは、彼らがどう生きていたのかという興味に変わり、彼らが愛した場所を訪ね、彼らが旅をした風景を見て、彼らの息遣いに自分自身の呼吸を重ね合わせ、彼らの心を感じてみたくなるのです。この世に遺して行っていった彼らの想いがそうさせているのかもしれない、とさえ思うことがあります。

そして、僕は今ブルース・チャトウインという人に出会ってしまったのです。

僕は彼の遺作である『Songlines』を、原書(翻訳本は絶版)で読んでいくことにしました。 日本語訳をサポートしてくれるのは、ETCが紹介してくれたヘルナンデス先生。

他界する二年前に、ブルースが旅したオーストラリア。彼が『Songlines』に書き残してくれた足跡を、僕が辿って行く。 その過程をここに書き溜めて行きます。

 

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2006年10月04日

疲れ切った威厳

堕落論

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'Billy Boy Mob's country,' said Mavis, rousing herself with
exhausted dignity, as though defining her right to eixist.

                     『Songlines』(88ページ)
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 この意味がわかりませんでした。

 'exhasusted diginty'

 直訳すると「疲れ切った威厳」かな。もしくは「使い古された面目」。

 わからなかった理由は、僕の"威厳"という言葉に対する先入観でした。

 威厳とは、力に満ち人を圧倒するもの。それが疲れ切っているなんて変だ、
という先入観です。

 でも、ヘルナンデス先生の説明を聞いて納得。

 こんな感じの訳になるかな?

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 「ビリー・ボーイ・モブの故郷なのよ」とマーヴィスは言った。

 まるで彼女の存在意義を示すために、威厳ある態度で自分自身を奮い立た
 せようとしながら。しかし、そうし続けることの疲れを隠すことができずにいた。
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 ブルースに見抜いていたんでしょうね。マービスが、自分が重要な人物で
あるかのように振舞っても、それは、本当の自分以上に自分を見せようとし
ているだけで。そして、そうし続けていることに彼女自身がが疲れてしまっ
ていることを。

 "exhasusted"(疲れ切った)と "diginty"(威厳)。一見、相反する言葉に思
えますが、それらを繋げることで、実は物事の本当の姿が見えてくる。また、
表現されている内容の幅が広がり、読む人の想像力を掻き立ててくれるのだ
とも思いました。

 では、これに類する表現が作れないかと考えてみましたが、なかなかできず
にいます。それは、僕が物事の姿を見抜けていないからかもしれませんね。


 最近やっと見つけた表現に、こんなのがありました。


 - 悲しき熱帯 - (レヴィ=ストロースの著作)

  熱帯が悲しいのとはいったいどういうことなんでしょう。
  その背景にある物語を知りたくなりますね。


 - (戦争中の日本は嘘のような理想郷で)、
   ただ虚しい美しさが咲きあふれていた。- (『堕落論』 坂口安吾の著作)


  "虚しい美しさ"
  これはいったいどんな言葉で置き換えることができるのでしょう。


  言葉の持つ深さに、どんどんとはまって行きます。
 

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SONGLINES』はETCからご紹介いただいたHernandez先生(渋谷区外苑前)と一緒に読み進めています。