News # 71:メメント・モリ (死を想え)

 「地球交響曲第二番」は27日(土)、
  「第三番」は28日(日)です。

  東京プロフェッショナルズ
  ~Tokyo Pros. Newsletter ~

    By Hiro Aoki

News # 71:メメント・モリ (死を想え)

●ぼくが『地球交響曲第三番』を観て思ったこと

先月28日に開催した『地球交響曲第三番』上映会 feat. KNOB、そして29日、
龍村監督をお迎えして開催した『第四番』をご覧になった方から、たくさん
のフィードバックを戴きました。有難うございます。(^-^)/

皆さん、本当に様々な感想を持たれたことを知り、とても驚いています。

ぼくが『第三番』を初めて観た時、映画のメッセージの全ては受け入れるこ
とができず、消化不良を起こしていました。また、とても重たい気持ちになっ
てしまいました。

『第三番』は、アラスカ在住の写真家、星野道夫さんが出演される予定でし
たが、撮影開始直前に熊に襲われ急逝。出演者が居なくなってしまった映画
は、星野さんの友人、そして遺された奥様の直子さんへのインタビューとい
う形で進んで行きます。

ぼくがこの映画を見て消化不良になった原因を思い返してみました。それは、
ぼくがまだ「死」ということを、心で理解することができていないからなの
だと思います。

●おかしな考え

1年半前、ぼくはあることに気が付きました。それは、

 「ぼくは、死なない。」

と思っていることでした。自分はいつかは死ぬのだということを意識して生
きていない。それどころか、「自分は死なない」と、心のどこかで思ってい
るということでした。そういえば、20代の頃、「ぼくは歳をとらない」と思っ
ていたことも思い出しました。(^^;

当時ぼくは、独立し会社を設立、失業中だった義父を雇用していました。た
だ、会社を作ったものの、本当に自分が打ち込める事業が見つからず、時間
だけが過ぎて行きました。

 「自分の生が輝いていないのは、自分が死ぬと思っていないからだ」

と思うようになりました。死を意識しているからこそ、生が輝く。

ならば、「死について、もっと知りたい」と、思うようになりました。自分
の生を輝かせるために。

●四国のお遍路

2002年11月中旬、自宅から直のところにある東京写真美術館で、四国の八十
八寺の写真展示会が開催されました。その会場で、ぼくは写真家の藤原新也
の著書『メメント・モリ』(*)の、こんな言葉に巡り会いました。

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肉親が死ぬと、殺生が少し遠ざかる。一片の塵芥だと思っていた肩口の羽虫
にいのちの圧力を感じる。草を歩けば草の下にいのちが匂う。信仰心という
のはこんな浅墓な日常のいきさつの中で育まれるものか。老いた者の、生き
るものに対するやさしさは、ひとつにはその人の身辺にそれだけ多くの死を
所有したことのあらわれと言えるのかもしれない。

                『メメント・モリ』藤原新也著より引用
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「死」を知るためには、身近に多くの死を体験する必要がある。もし、そう
ならば、やはり「死」については知りたくないとも思いました。

●義父の写メール

展示会に行った日の夕方、義父から電話がありました。義父はぼくの会社の
社員でしたが、ぼくが払えたのは最低賃金。もっと収入が増えれば、家を出
て行ってしまった義母が戻ってきてくれるかもしれない、と思っていたのか、
週に何日かは新宿の駐車場で夜勤の仕事をしていました。

「松本の伯母さんが遊びにきて、野沢菜を持ってきてくれたんだ。仕事帰り
 に立ち寄って渡したいんだけど、美保(ぼくの妻)はいるかな?」(義父)

妻はその日、仕事で不在。ぼくが代わりに恵比寿駅まで義父に会いに行きま
した。

「お義父さん、いつもすみません。今日も美保さんは仕事で。」(ぼく)

ぼくは、「今、妻にメールで送るから」と言って、持っていた携帯電話で義
父の写真をとりました。携帯の小さな画面の中で、義父は自分の娘に微笑む
ように、優しい笑みを浮かべました。

「お義父さん、よかったらお茶でも飲みませんか?」(ぼく)

「ううん。。。今日は、疲れているからいいや。」(義父)

ぼくは、ホームで義父の乗った山手線を見送りました。

義父に会ったのは、これが最後でした。12月の初め、横浜の一人暮らしの自
宅、南窓のある2階の寝室で義父が亡くなっているのを、妻が見つけました。
胸部大動脈破裂とのことでした。

●重なる思い

告別式で、高熱炉に運ばれようとしている身長180cmの義父の身体を眺めなが
ら、ぼくは、「焼いてしまうのか。もったいない。」と思いました。

『メメント・モリ』の中に出ていた写真を思い出していました。人間の亡骸
を、犬が食べているインドでの写真でした。そこには、こんな言葉が添えら
れていました。

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ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。

                『メメント・モリ』藤原新也著より引用
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人が死んだら土に戻るというのは、日本では難しいのだということに気がつ
きました。土にはもどれず、動物に食われ自然の循環の中に入れるわけでも
ない。ただ、焼かれて灰になるだけ。

『第三番』を観ながら、ぼくが重たい気持ちになったのは、星野道夫さんの
死を、義父の死に重ねていたからでした。

そして、星野さんの息子、翔馬くんの姿を見ながら、生まれてくることがな
かったぼくの子供に思いを馳せていたからでした。

 (翔馬くん。生まれてきて、よかったね。)

ぼくは、スクリーンに大写しになった翔馬くんの笑顔を見ながら、涙が止ま
りませんでした。

『地球交響曲第三番』、3月28日にもう一度上映します。

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■Tokyo Pros. 『地球交響曲』上映会 feat. KNOB
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【上映映画】:『地球交響曲 第三番』
【ゲスト】 :KNOB 天然空洞木(ディジュリドゥ)
【日時】  :2004年3月28日(日) 開場18:35 開演18:55~21:40
【会場】  :なかのゼロ 小ホール
【住所】  :東京都中野区中野2-9-7
       JRまたは地下鉄東西線の中野駅南口から徒歩8分
【入場料】 :下記添付のお申込みフォームに必要事項をご記入上送付、
       該当する金額を、指定銀行口座までお振込みください。
      :前売り(3月23日15時迄振込分)  2500円
       当日(3月28日)         3000円
【振込口座】:三井住友銀行 恵比寿支店
       普通 6947382 東京プロフェッショナル

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<お問い合わせ・お申し込み>

お問い合わせは、青樹(info@tokyopros.com)まで、メールでご連絡ください。

お申し込みは、下記フォームをお使い戴き、青樹(info@tokyopros.com)まで
メールにてご連絡ください。青樹からの「お申込み確認メール」を受領後、
チケット代金をお振込ください。チケットはご入金確認後送付いたします。

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■0328/Tokyo Pros.『地球交響曲 第三番』上映会に申し込みます。

お名前:
住所(チケット送付先/〒番号から):
会社名/学校名/所属団体名等:
職種等:
メールアドレス:
チケット申込み枚数:
このイベントをどちらで知りましたか?

連絡欄:

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また、下記の上映会も、引き続き申し込みを受け付けています。

■『地球交響曲第二番』上映会 3月27日
   http://www.tokyopros.com/gaia2/

■GWに『第一番』から『第四番』まで一気に上映します。
  5月1日 『第一番』
  5月3日 『第二番』
  5月4日 『第三番』
  5月5日 『第四番』
   http://www.tokyopros.com/gw/

では、上映会でお会いしましょう。

青樹洋文 / Tokyo Pros.

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(*)メメント・モリ MEMENTO-MORI

この言葉は、ペストが蔓延り、生が刹那、享楽的になった中世末期のヨーロッ
パで盛んに使われた宗教用語である。その言葉の傘の下には、わたしのこれ
までの生と死に関するささやかな経験と実感がある。

                『メメント・モリ』藤原新也著より引用
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